【獣医師】高齢犬になるとかかりやすい病気とは?
2016-08-25
記事監修:さいとう動物病院 獣医師:齊藤高行
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家族の一員である大切なペットのため、ご家族さまが安心して診療に望めるよう、気軽に立ち寄れ、相談できる、そんな動物病院をこれからも目指しています。
犬も人間と同じように、若い時よりも年をとった方が、抵抗力が無くなり病気にかかりやすくなります。
特に若い時には無かった様な病気になることもありますので、愛犬が高齢になってきたら、これらの病気に気をつけてください。
今回は、高齢犬になるとかかりやすい病気で、体表の腫瘍をご紹介します。
愛犬とのスキンシップの中で早期発見できれば治療に対するリスクも少しは減らせるはずです。
高齢犬がかかりやすい病気
【乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)】
避妊していない雌がかかりやすい病気で良性と悪性の比率は半々と言われています。乳房の腫れやしこりで知ることができます。日ごろからよく触ってしこりなどが無いか注意してみてください。
・血液などの流れがわるくなり後ろ足も腫れてくることがある
・炎症性乳癌という非常に悪性の腫瘍もある
【肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)】
中年齢以上の去勢していない雄にみられる腫瘍です。肛門周辺にできる腫瘍のほとんどが肛門周囲腺腫で硬く盛り上がっています。肛門周辺以外にも尻尾の背側部分や後ろ足の後面部分などにできる場合もあります。
舐めたり掻いたりする事によって出血したり潰瘍になります。ホルモンが関係している事が多いため切除と一緒に去勢やホルモン療法を行います。
・肛門周辺だけではない
・よく触って硬いしこりが無いか確認
【口腔腫瘍(こうくうしゅよう)】
歯茎や舌、口腔粘膜などに腫瘍ができ、口臭がきつくなったり、よだれが多くなるなどの症状があります。また出血や痛みから食欲を無くしたりします。
・腫瘍が小さいうちは気づきにくい
・歯磨きを習慣づけ口の中をチェックできるように
【リンパ腫】
リンパ腫は・胸腺型・多中心型・消化器型・腎型・皮膚型・その他と分れますが、犬でよくみられるのは体の首や顎、脇の下などのリンパ節の腫れが起こる多中心型です。リンパ節の痛みや発熱、食欲不振などを伴うこともあります。
腫瘍ではありませんが、見た目でわかるものもありますので代表的なものを一つご紹介します。
【白内障】
眼が白く濁っていたり、常に瞳が広がっていたりします。また見えにくいため段差でつまずいたり、行動に変化が現れます。
白内障自体は年齢を問わず起こる病気で・若年性白内障(~2歳)・成犬性白内障(2~6歳)と言われ、多くは7歳を過ぎた老化現象から起こる老齢性白内障です。
年齢を問わず起こるのは、遺伝的素因や全身疾患、眼の病気やケガなど様々な要因があるからです。しかし混濁していても全ての犬が視覚を失うわけではなく、見えている犬もいます。
見えている場合は目薬や飲み薬など内科的治療になりますので飼い主さんが目薬をしてあげなくてはなりません。
もう視力が無く見えていない場合は、人の白内障手術のように犬用の人工水晶体がありますす。しかし、人と犬では構造が違う事、長時間かかる事、術後の炎症などリスクがあり安静と清潔を保たなければいけないため人のように安易にできるもではありません。それなのでかかりつけの先生とよく相談して決めてください。
これらのように高齢になると様々な変化が現れます。
日々のスキンシップから少しでも早く愛犬の変化を見つけられるようにしてあげれば、治るものや進行を抑えられるものもあります。愛犬と一日でも長く快適に生活できるように日ごろから観察してみてください。