犬を飼う時の法的な義務
2016-02-27
犬を飼おうとしている。または、もう犬を飼っているあなたに、知っておいて欲しいことがあります。
それは、飼い主の法的な義務についてです。
室内で犬を飼う人が増えてあまり外の世界の危険を感じる機会が減ったせいか、犬を飼うにあたっての法的な義務をきちんと理解している人は少ないように思います。
しかし、法を守ることは飼い主としての義務ですし、犬を楽しく飼い続けるためにも必要なことです。これを機に以下の事をしっかりと覚えておきましょう。
飼い主の法的な義務
1:犬を登録して鑑札票を付ける
犬の所有者は犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合にあっては、生後90日を経過した日)から30日以内に、厚生省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する都道府県に犬を登録しなければなりません。
引っ越した場合は、引っ越し先で改めて登録が必要です。
登録は簡単で、住んでいる市町村区の窓口に行き、申請書に飼い主の氏名などを記入するだけです。500円程度の手数料がかかります。
※動物病院がまとめて登録してくれる場合もあります。
登録すると鑑札票がもらえるので、首輪につけましょう。自治体によって鑑札の形は異なり、最近では地域の名物をあしらったかわいいものが増えています。
鑑札票は迷子札代わりにもなります。
2:狂犬病の予防接種をさせて、注射済み票を付ける
狂犬病の予防接種を年に1回犬にさせることは、狂犬病予防法により定められた飼い主の義務です。
狂犬病とはウイルス性の人獣共通感染症です。
日本ではこの50年ほど発生していないため「昔の病気」という認識が強く、予防接種率が年々減少しています。
しかし他国での発症例は多く、世界中で年間約5万もの死者を出しています。先日は台湾でも野生動物への感染がわかりました。
狂犬病はすべての哺乳類に感染する可能性があり、ひとたび感染すると致死率100%の怖い病気です。毎年欠かさず予防接種を打ちましょう。
予防接種をしてその旨を届け出ると、狂犬病注射済み票がもらえます。届け出は簡単で、獣医師が発行してくれた注射済み証明書を窓口に提出して手数料500円程度を納めるだけです。
※動物病院がまとめて届け出てくれる場合もあります。
※なんらかの理由で予防接種が難しい場合は、獣医師に免除証明書を書いてもらえます。
狂犬病注射済み票は年度ごとに色が異なります。最新のものを鑑札票と一緒に首輪に付けましょう。
理由なく予防接種を怠った場合には、30万円以下の罰金に処せされることがあります。
3:動物愛護法による義務
「動物の愛護及び管理に関する法律」は、飼い主に義務をいくつか定めています。簡単にまとめると、以下の通りです。
・かわいがって、大切に飼う。
・他人にケガをさせたり物を汚したり迷惑をかけたりしないように、適正に飼育する。
・むやみに繁殖させない。
罰金などの罰則もあります。
4:条例による義務
都道府県・市町村等は犬の飼育についての条例を定めています。細かな違いはありますが、内容はどこも似ています。
・柵・檻などの囲いの中で飼い、係留をする。
・エサを与えて運動をさせるなど、適切な飼い方をする。
・犬の健康状態に気を配り、人獣感染症の防止に協力する。
・犬を飼っていることを示す標識を家の前に掲示する。
・人を噛んだり吠えたり、他人に迷惑をかけないように飼う。
・散歩のときはノーリードにしない。
・糞などは持ち帰る。
罰金などの罰則もあります。
5:民法による義務
民法は「飼い主には、飼い犬が他人に加えた損害を賠償する責任がある」旨を定めています。
いかがでしたか?どれも守るのはそんなに大変ではありませんよね。
世の中には犬が好きな人ばかりではありません。犬が怖い人もいます。ルールを守り、周りへの配慮を忘れずに飼育しましょう。
執筆:flower
ペットに関するトラブル予防法務やペットのための信託などを専門に活動。保護施設から譲ってもらった5才になる雑種犬を飼っています。