【訓練士】犬の留守番を長時間でも大丈夫にする4つのポイント
2016-10-22
記事監修:ドッグスクール山口・トレーナー:山口哲也さん
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経歴:ドッグスクールピッピにて修行⇒6年半の修行ののち独立。つくば市にて開業。2014年、FCI-IPO世界大会日本代表出場、災害救助犬や警察犬の使役犬を多数育成中
犬がどのぐらいの時間、一人で留守番ができるのか気になったことはありませんか。また長時間の留守番が大丈夫になってほしいと思ったことはないでしょうか。
ここでは、愛犬の留守番でお悩みの飼い主さんに、犬が長時間のお留守番でも大丈夫になる4つのポイントをご紹介しています。愛犬がお留守番上手になると飼い主さんもお出掛けがしやすくなりますので、ぜひ参考にして下さい。
犬は留守番が苦手、留守番の時間は短いほど良い
犬は元来、単独ではなく群れで行動する生き物です。そし人間と犬の共存は古くから続いています。動物愛護先進国のスェーデンやドイツでは、犬だけで5~8時間以上の留守番をさせることは虐待に値します。
社会システムなどの違いもあるので一概に良し悪しの判断はできませんが、犬が留守番を好ましく思っていないということはよく分かります。専門家によると、排泄の頻度や精神的なストレスを考えると、最高でも12時間が限界と言われています。
犬が留守番を苦手な理由は、主に不安と寂しさです。
飼い主さんがいない状況に不安を強く感じる犬は、物を破壊する、吠えるなどの「分離不安」という症状を発症する場合もあります。
犬に留守番をさせて帰宅すると家の中がぐちゃぐちゃに荒れていたというようなことはありませんか。そんな時でも叱ったりはしないで下さい。少しずつしつけをしていけば落ち着かせることができます。
1.愛犬に留守番を少しずつ慣らす
怖がりな犬や家に来たばかりの犬に、いきなり長時間の留守番をさせるのは過酷です。まずは飼い主さんの姿が見えないという状況に慣れさせましょう。
飼い主さんは、犬に軽く挨拶をして(何も言わなくても良い)静かに家の外に出ます。最初は数十秒からスタートし、徐々に1分、5分、10分と犬を一人にさせる時間を長くしていきます。
これを一日に何度か繰り返します。そうすることで、飼い主さんは必ず帰ってくるのだと犬が覚えます。また、飼い主さんの姿が見えなくなるのは普通のことだと理解し始めます。
留守番に慣らすためのポイント
・留守番の時間を少しずつ長くしていく
・犬におおげさに声を掛けず、静かに出て行く。帰宅時も静かに入る。
・毎日繰り返す
2.愛犬が留守番中にリラックスできる場所を作る
落ち着いて留守番ができる犬は、飼い主さんがいない間は大抵寝ています。
犬は一日15時間以上寝る生き物です。飼い主さんが不在の時間は静かで、愛犬にとって絶好の睡眠時間と言えます。フワフワのベッドが好きな犬にはベッドを、狭い空間が落ち着く犬にはバリケンなどを用意して、犬がゆっくり休めるような環境を整えてあげましょう。外が気になる犬の場合は部屋のカーテンを閉めておきます。
また、部屋の温度を快適に保つことも重要です。特に夏場の閉め切った部屋は熱中症の危険があります。エアコンのスイッチは入れて出掛けて下さい。冬の寒さに弱い犬の場合は、毛布や犬用ヒーターなどで対応すると良いでしょう。
そしてどんなに少しの留守番でも、飲み水だけは忘れずに用意して行って下さい。
留守番で落ち着くためのポイント
・愛犬好みのリラックス空間を作る
・エアコンなどを利用して室温を快適に保っておく
・飲み水は忘れない
3.おもちゃよりも適度な運動をさせる
留守番の時に、おもちゃを与えておくやり方も見聞きします。おもちゃで満足する犬もいますが、破壊行動のある犬はおもちゃ以外のものに関心がいくことも多いです。喉におもちゃの破片を詰まらせるおそれもあるので、飼い主さんの目が届かないところで使わせるのは危険を伴います。
おすすめなのは、留守番前に犬を運動させておくことです。疲れた犬は飼い主さんへの関心が薄れるので、飼い主さんも出掛けやすくなります。また留守番の間もすぐに寝てしまうので、暴れることが少なくなります。
留守番から目を逸らすポイント
・おもちゃよりも、犬が疲れる程度の運動をさせておく
・犬が眠そうにしている隙に、そっと出掛ける
4.愛犬を普段から一人で過ごさせる
飼い主さんが在宅の時でも、犬にべったり構うのではなく適度に距離を空けて接するようにしましょう。飼い主さんを介さなくても一人で遊んだり、勝手に自分のベッドで眠ったりできるようにしておきます。
社会性の低い犬や飼い主さんが一人暮らしの場合、犬が飼い主さんに依存する傾向が高まります。普段から外へ出かけて様々な刺激を味わったり、たまに家族や友人に預かってもらったりして、あえて愛犬と離れてみることが大切です。
依存が強い犬を留守番させるポイント
・普段から一人の時間を持たす
・あえて他人に犬を預けて、飼い主さんと離れる時間を設ける
愛犬に留守番をさせる方法のまとめ
犬を留守番に強くするには、一人でいることの不安を無くしてやることが大切です。そのために4つのポイントを押さえましょう。
1.少しずつ留守番の時間を長くしていくこと
短時間の留守番を繰り返すことで、留守番は普通のことだと分からせるようにします。飼い主さんは出掛ける時も帰宅の時も、犬に対して大げさに声掛けをしないようにして下さい。
2.留守の間に落ち着ける空間を作っておくこと
愛犬が落ち着く部屋作りをします。暑い日にはエアコンを入れて出掛けましょう。飲み水は必ず用意して下さい。
3.留守番前に適度な運動をさせておく
疲れる程度の運動をさせておき、犬がすぐに寝るようにしておくと楽です。疲れた犬は飼い主さんを後追いしたり、留守中に暴れたりすることが少なくなります。
4.普段から一人に慣れさせる
同じ家にいても、犬が一人でいる時間を意識して作りましょう。普段から多くの人やものに触れるようにして下さい。家族や友人の力を借りるのも手です。
留守番を嫌なことだと思い込んでいると、留守番ができない犬になってしまいます。留守番に慣れさせて、愛犬が一人でも快適に過ごせるように仕向けていくことが重要です。
愛犬が上手に留守番できるようになると、飼い主さんも安心して家を空けることができます。留守番を頑張った分、家にいる時はたくさん触れ合って愛情を注いであげることで愛犬との信頼関係も強くなりますよ。