鳴き声がご近所迷惑に?飼い主の責任と対処法とは?
2016-02-19
ご近所さんから
「おたくの犬、うるさいんだけど…」
「犬の鳴き声が気になって眠れない。」
などと苦情を受けたことはありませんか?
犬は吠える生き物ですが、度を超えた鳴き声はときにご近所トラブルに発展し、近所仲が悪くなるだけでなく裁判沙汰になることもあります。特に集合住宅や住宅密集地ではトラブルが深刻化しやすく、注意が必要です。
「うちの犬は吠えないから大丈夫」と思ったあなた。実は留守番中にだけ吠え、飼い主が鳴き声に気づいていない場合もあります。
また、認知症などが原因で急に無駄吠えが始まることもあります。犬の鳴き声によるご近所トラブルは、犬を飼っていれば誰にでも起こりうることです。万が一ために、飼い主の責任と対処法を頭の片隅においておきましょう。
飼い犬の鳴き声についてどんな責任があるの?
「動物の愛護及び管理に関する法律」では、飼い主は「動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、・・・(中略)・・・又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」と規定しています。
都道府県等の条例でも同様に、飼い主に「動物を適正に飼養すること」を求めていますので、飼い主には、飼い犬の鳴き声が他人の迷惑にならないよう注意する義務があるのです。
また、民法は「飼い主には、飼い犬が他人に加えた損害を賠償する責任がある」旨を定めており、飼い犬の鳴き声が他人に迷惑をかけた場合には損害賠償を請求されることがあります。
損害賠償になったら、支払わなければいけない金額は?
実際に支払わなければいけないかどうかや金額は裁判で決まりますが、その判断は、
・鳴き声が一般的に受忍するべき限度を超えているかどうか
・飼い主が飼育上の注意義務を果たしているかどうか
を総合的に考えて行われます。
いいかえると、「鳴き声が常識的に我慢すべき範囲内」、あるいは「飼い主が十分注意して飼育している」場合には損害賠償を免れることができるということですが、それでいいというものでもありません。
トラブルを円満解決するには?
ご近所さんとのトラブルは家族の日常生活にも暗い影を落とすものです。せめて「苦情」の段階で円満に解決することが大切です。
無駄吠えの場合
犬が健康なのに理由なく吠える場合(「無駄吠え」といいます)、急いで対応する必要があります。すぐにご近所さんに謝罪に行き、精いっぱい改善すると約束しましょう。必要であれば約束事項を書面に残すなど、とにかく誠実に対応することでトラブルの深刻化を防げます。
次に、すぐに改善策を実行しましょう。
まずは生活を見直すことが大切です。毎日散歩に連れ出していますか?無駄吠えのほとんどは、運動不足と退屈が原因ともいわれています。短い時間でも散歩に行ったり、ボール遊びをしたりするだけでも犬には嬉しいものです。
また、犬だけで長時間の留守番をさせていませんか?留守番中に退屈しないようおもちゃを用意したり、ペットシッターを利用したり、工夫しましょう。
獣医師やドッグトレーナーにも相談してみましょう。よいアドバイスがもらえるはずです。
ここまでを実行すれば、無駄吠えも鳴き声トラブルも自然と解決することがほとんどです。
それでもダメなときは、自治会長などの中立な立場のご近所さんや、弁護士・行政書士などの専門家に相談してみましょう。第三者を挟むことで、冷静に話し合えるようになります。
犬が認知症などの場合
犬が年を取って急に吠えるようになった場合には、認知症などの病気が疑われます。獣医師の診察を受け、ご近所さんにも事情を説明して理解を求めるのがベストです。室内飼いにして夜間は窓を開けないようにするなど、できる限り鳴き声が外に漏れない工夫をしましょう。
犬が原因でご近所トラブルが起こることもありますが、その多くは犬が原因では無く飼い主の犬へのしつけや、対策が不十分である場合がほとんどです。近所のトラブルが起きないように、自己流のしつけなどでは無く専門家などに依頼するなど、未然に防ぐことがよりよい愛犬との暮らしに必要ではないでしょうか。
執筆:flower
ペットに関するトラブル予防法務やペットのための信託などを専門に活動。保護施設から譲ってもらった5才になる雑種犬を飼っています。