【獣医師】高齢犬のからだケアのポイントとは?
記事監修:アイリス犬猫病院 獣医師中村匡佑
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大切なご家族の一員である動物を一番よく知っているのは飼い主様であり、飼い主様からしっかりと話を聞き、大切なご家族のため、どんな事でもしっかりと話し合い決定していく。この当たり前の事を徹底し、皆様との信頼関係を大事に、地域のホームドクターとして皆様のお役に立つ事が出来れば幸いです。
愛犬が若い頃はトリミングサロンに連れて行きシャンプーから爪切りまでやってもらっていた飼い主さんも多いでしょう。
高齢になってもまだまだ元気であれば問題ありませんが、体力や体温調整機能の低下で預けるのが心配になってくる場合もあると思います。また寝たきりの子であればトリミングをしてもらえるのかさえわかりません。
しかし高齢犬は体が汚れがちになりますので、清潔に保つことは非常に大切ですしシャンプーやブラッシングをして今まで気づかなかった体の変化に気づく事もありますので、愛犬の状態を考慮して無理はせず出来る範囲でお手入れしてあげましょう。
高齢犬の身体ケアのポイント
【ブラッシング】
毛並みを整えるだけではなく抜け毛の除去、血行促進の効果もあります。また毛玉がある場合は無理に引っ張らず人と同じように細かくクシをいれほどいてあげましょう。
【ツメ切り】
ツメ切りは慣れていなければ大変だと思います。しかし前より運動量が減っている高齢犬は自然に削れる量も減るので伸びるのが早く感じます。
そのままにしておくと伸び続けやがて肉球に刺さりますので、こまめにチェックが必要です。
慣れるまでは1本ずつでもいいですし、ツメをきるだけであればトリミングサロンや動物病院でも短時間でやってくれます。その際にやり方やコツを聞いておくと今後寝たきりになり連れて行くのが大変になっても飼い主さんが切ってあげられます。
【肉球】
高齢になると乾燥し、ひび割れなどが起こり出血する場合がありますので保湿ケアが必要になります。最近では肉球クリームも販売されていますので保湿をしてあげてください。身近なものでは白色ワセリンなどでも代用できます。
また肉球の間の毛は伸びてしまうと床などで滑りますので、肉球を傷つけないようにカットが必要です。これも難しいようであればトリミングサロンなどで爪切りと一緒にお願いしましょう。
【シャンプー】
全身を洗ってあげるのはリフレッシュしますし、イボなど体の異変に気が付くこともできます。汚れているからと言ってゴシゴシ強く洗うのではなく、指の腹を使ってマッサージするようにします。湯気でむせないように37℃~38℃くらいのぬるま湯が適しています。床も滑らないように踏ん張ると足腰の負担になりますのでバスマットを用意してあげましょう。
高齢犬にとってはシャンプー自体負担になりますので、短時間で済ませる事が大切です。予め必要な物は手の届く範囲に用意しておくなど時短に努めましょう。
乾燥も吸水性の高いタオルを使いドライヤーは適温で体調を崩させないように確実に乾かしてあげます。
早く乾かしたいからと言ってドライヤーを高温で使用すると火傷や体の乾燥につながりますので適温で乾かしてあげてください。
寝たきりの場合やそこまで汚れていない場合などは部分洗いでも大丈夫です。タオルやペットシーツを敷いて洗い流してあげたり、洗面器などに浸けて部分洗いしてあげましょう。
毎回シャンプーは大変な場合、日々のお手入れは蒸しタオルやドライシャンプーなどで拭いてあげるなどしてとにかく清潔に保ってあげましょう。
若い頃のようにトリミングサロンに預けて終わったら迎えに行くというような感じでは無くなりますが、飼い主さんが愛犬をキレイに保とうとする事でスキンシップを取り体の異変をいち早く感じ取ってあげられます。
今はまだ高齢犬ではなくても、顔周りやツメなど飼い主さんが無理なく触れるように愛犬にも慣れてもらえば後々少しは楽にお手入れができるかもしれません。