【獣医師】犬が熱中症になった時できる事は?

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【獣医師】犬が熱中症になった時できる事は?

2016-08-25

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記事監修:森田動物病院 院長:森田豊樹
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院長の森田豊樹です。当院では、みなさまの大切な『家族』の健康を守るため、病気やケガの治療はもちろんですが、未然に防ぐ予防医療を第一に考えております。

毎年夏になると熱中症のニュースを耳にします。熱中症は人間だけではなく愛犬にも充分に起こり得る事ですし最悪亡くなってしまう事もあります。

犬には体の表面には汗腺がなく、足の裏(肉球部分)が汗腺になりますので、人間のように汗をかいて体温を下げるというのは難しいのです。そのため、犬は暑い時「ハァハァ」と舌を出して速い呼吸をして呼気からの気化熱で体温を下げています。

ですから、暑い夏になると体温調節が難しい場合もあります。

犬は話すこともできませんし、ケージや車の中にいれば自ら移動する事もできませんので、飼い主さんが熱中症対策を考えてあげる必要があります。

犬が熱中症だと思われる症状は?

・体温が41℃以上に上昇している
 犬の体温の標準は小型犬で38.5~39.2℃ 大型犬で37.5~38.6℃です

・激しい呼吸
 異常にハァハァという呼吸が激しい

・よだれが出ている

・粘膜が鮮赤色になっている
 粘膜(可視粘膜)=目で見える粘膜(瞼の下の裏や歯茎などの)部分。人間でも貧血の時など白くなる部分。色の違いを発見するために通常時はどんな色なのかを確認しておきましょう。

・脱水症状
 口の中が一番わかりやすいかもしれません。乾いた感じで粘ついたりします

・痙攣

・意識がなくなる

このような症状が出ましたら、愛犬が熱中症の可能性があります。
もし、このような症状が現れたら、応急処置をしてあげてください。

意識がはっきりある場合の応急処置

・日陰で風通しの良い場所へ移動

・水を与える(自分から飲まない場合は無理に飲ませない)

・可能であれば体温測定
 肛門から測定するので無理はしないでください。

・体温を下げる(標準値に近いところまで)
 首、脇の下、内股に濡らしたタオルや保冷剤をあて扇風機の風などで気化熱を起こして体温をさげてあげます。

水(常温)をかけてあげても大丈夫ですが、いきなり頭などにかけずに後ろ足などからかけてあげてください。

脱水の場合は点滴などが必要になってくる場合もありますので、応急処置の後に大丈夫そうでも診察してもらった方が安心です。その際は熱中症の症状がでた事、その後行った事を正確に伝えましょう。

意識が無い場合の応急処置

意識が無い場合は冷やしながら大至急病院へ行ってください。その際、意識が無いので水は与えない、体温の下げ過ぎには注意が必要です。

アフタードロップ現象(急に冷やされた血液が体内を循環するために冷やす行為を辞めても体温が下がり続ける現象)が起こる可能性があるからです。

熱中症は飼い主さんの意識で防ぐ事ができます。

真夏に炎天下の中で、私たち人間が真冬の服装(犬でいう被毛)で素手・素足でアスファルトの上を四つん這いで歩く事を想像してみてください。

犬の方が体高も低いため体全体がアスファルトに近いうえに、汗腺が足の裏にしか無いのですから、真夏に炎天下でお散歩をするのはとても辛い事なのです。

ですから少し愛犬の事を考えて

・お散歩は早朝や夕方にする

・いつでも新鮮な水が充分飲めるようにしておく

・風通しの良い場所や日陰など自分の意思で移動できるようにしておく

・ケージやサークル内の場合長時間日が当たる、またはずっとエアコンの風などが直接当たる場所ではないか見直す

・暑そうだからと長毛を極端に短くすると皮膚に直射日光が当たるので程々に

・暑いとクールダウンの為にお腹を地面にペタっと付けて座るので腹部の被毛を短めにしておく

・いざという時の為に保冷剤を用意しておく

と言ったように飼い主さんが意識してあげれば愛犬を熱中症のリスクから守ってあげられます。とくに高齢犬は自分での体温調節が難しくなったりしますので夏を安全に過ごせるように今一度見直してみてください。


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