旗谷動物病院 旗谷先生

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旗谷動物病院 旗谷先生

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動物に囲まれて過ごした子供時代。バイクに乗った獣医師さんが憧れでした

—まず、獣医師になられたきっかけを教えていただけますか。

私が生まれたのは兵庫県でも日本海側で、但馬地方というところです。この辺は犬も猫も豚も鳥もヤギも、動物がまわりにいっぱいいたんです。そんな中で育ったので、動物に対して自然と興味を持ちました。

またもうひとつは、この地域は但馬牛の一大産地で、当時の農家の人たちは田を耕すのに牛を労働力として使ったり、牛の子どもを売って現金を得たりして、牛を大事な収入源として宝のように扱っていました。でも牛が病気になっても病院へ連れていくことができないので、獣医が来るわけです。その獣医が乗っていたバイクが、戦後間もないときだったので陸軍の陸王というものだったんです。「ドッドッドッドッ…」という排気音とともにやってくる姿がものすごいかっこよくて、それに憧れたのかもしれません。

—神戸市で動物病院を開業した理由はあるのでしょうか?

もともと兵庫県の人間なので、できたら近くに通いたいと思っていました。けどそれとは別に、私の地元は田舎でしたので、獣医師というのは牛を診るための医者であって、犬や猫、ましてや雑種のものを病院に連れて行ってお金かけて治療するという考えは、当時の飼い主さんの頭の片隅にもなかったんです。だから大学を出て獣医になっても、私を必要としてくれる人がまわりにはいませんでした。そこで、獣医を求める人たちが住む神戸を選びました。

震災を経て変化した世の中。そして動物に対し真摯に向き合う恩師の教え

—開業されて何年になりますか。

昭和45年に開業してますので、46年かな。

—阪神・淡路大震災のときは、動物救済の活動もされたようですね。

当時、神戸市獣医師会の会長をしてたんです。そのときに地震が起きたので、これはもうやらざるを得ないという状況でもありました。私は先祖(運)が悪かったと、冗談をみなさんに言うんですけれどもね。でも、あれだけの救済活動をしたというのが世界で初めてだったようで、日本国内はもちろん、海外からの反響も大変なものでした。

それをありとあらゆるマスコミが連日好意的に取り上げてくれまして、日本国民の犬や猫、小動物に対する考え方を変えてしまったんです。生きる仲間、大事な命なんだと。その結果、急造されてこれまで体裁だけだった「動物の保護及び管理に関する法律」が、何十年ぶりかに作り変えられたんですよ。ザル法と言われていたものが、動物愛護を主体においたものとなった。国民の感情や想いが、法律をも変えてしまったんですね。

—そんな先生は、医療を提供する際には、どのようなことを心がけて飼い主さんに接していますか?

日本獣医大学時代、お世話になった中村教授という方がいました。当時日本で大変有名だった方で、とんでもなく恐くて厳しい教授だったんですけど、動物に対してはものすごく真摯に向き合われていました。

そして私が開業するとき、この中村教授が書をくれましてね、額入りで。医者の「医」に「仁愛」で、「医之仁愛」。医を、これを愛しなさいと。今でも病院にかけていて、この教えがずっと生きています。物を言わない動物ですから、診療にあたっては常に真摯でいなきゃならないと。人間目線でなく、動物の側に立った目線で診療したいと思っています。

—先生は、専門の診療ジャンルなどはあるのでしょうか?

私は今73歳で、いわゆる昔の獣医師です。だから専門などはなく、なんでもやってます。

今の若い先生方は専門医制度というものがありますし、また差別化ということもあって、うちは手術が得意だよとか、うちは心臓外科、うちは骨折だったら何でも来なさいとか、特化した分野がありますよね。

でも我々のときは獣医療自体が本当に幼稚なもので、アメリカ帰りの先生が持ち帰ってきた先進的な話を聞いて目からうろことか、外国人講師を呼んだだけで興奮するっていう時代ですからね、小動物獣医療なんてものはゼロみたいなものだったんですよ。今は昔と違って、人間の医療にも匹敵するほど進歩しましたし、診療ジャンルも増えました。その中でしいて言うなら、私は外科が好きですね。

ペットと良い関係を築き、毎日の接し方でいち早く変化に気づいてほしい

—ペットも高齢化で、かかる病気も変わってきていると思います。不安を持つ飼い主さんに伝えたいことはありますか。

フィラリア症やバベシア症といった感染症や伝染病に対しては、予防獣医学が進んでいますから、昔と違って今はほとんど無くなりました。それよりも心配なのは、人と犬との関係の変化による病気です。欧米先進国は土足社会ですから、ペットが家の中と外を自由に行き来して密接に暮らしていますが、ちゃんと犬は犬、人間は人間と、ある程度距離を保った接し方で良い関係を確立しています。

でも日本はもともと、犬は外で杭一本打ってつないでおけばいいっていう感覚でした。それが神戸の地震の後くらいから、家の中で飼い始める人が急速に増えたんです。さらに少子化も相まって、盲愛型の可愛がり方になってしまいました。欲しいエサがあれば量もかまわずいくらでも与えたり、散歩も犬が思うように歩かせてついていくだけだったり、犬に主導権を持たせているんですね。

その結果、上下関係が無茶苦茶になる。それは犬にとってもストレスを感じることであり、病気になってしまうんです。そんな可愛がり方によって、今非常に大きな問題になっているのが肥満です。肥満からくる糖尿病とかね。

また、なにせ今は人間だけでなく動物もものすごい高齢化社会ですから、足腰が弱くなり、痴呆が出て、寝たきりになる。老犬老猫の介護の問題ですね。昔は無かった病気ばかりです。その辺をしっかり飼い主さんも我々も理解していかなきゃ、命というものに正面向いて考えることができないのではないかと思います。

—最後に、地域の方へメッセージをお願いします。

今の時期(夏)はやっぱり、熱中症に気をつけてほしいですね。
散歩を日中にしている人がいますが、これはうちの患者さんにも言いますけど、朝は6時台までに出て、夜も21時以降とか涼しい時間帯にお願いしたいです。また出かけるときも戸を閉めきって、犬だけ置いていかれるんですよね。室内や車の中なんて50度近くなっちゃいますから、ちょっとの間とはいえクーラーつけていかないと。

それと、動物と人間との間には共通語というのがありません。だから物が言えなくて気持ちをわかってあげられないために、我々のもとにペットを連れてこられたときにはかなり病気が進んでいて、手遅れになっている場合が多いんです。
何にも痛がりもしないし、1回吐いたけど2,3日様子見ようかなんて言って、もうとんでもない状態で来るわけです。

それを防ぐために、なんとか1日でも早く連れてきていただきたいですね。また、普段と違うところはないかという目をもって毎日見て、1日1回でいいから体を触ってあげたり。それは犬にも人間にも、お互い精神的にすごく良いんです。触ることで血圧が下がるなどというデータも出ています。私たちよりよっぽど早くペットの変化に気づけるのは身近で接している飼い主さんですから、毎日そういう目で見てあげてほしいなと思いますね。

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動物病院情報

00055696
動物病院名 旗谷動物病院
住所 〒655-0014兵庫県神戸市垂水区大町3-3-9
電話番号 078-709-5511 ※お問い合わせの際は「ドッグジャーナル」を見てお電話しました。とお伝えください。
診療動物 イヌ ネコ ウサギ 鳥
駐車場 病院のすぐ裏に4台
最寄り駅 JR垂水駅、山陽電鉄垂水駅より徒歩13分
URL http://www.hataya-ah.com/

診察時間・曜日

月:09:00-12:00、14:00-20:00
火:09:00-12:00、14:00-20:00
水:09:00-12:00、14:00-20:00
木:09:00-12:00、14:00-20:00
金:09:00-12:00、14:00-20:00
土:09:00-12:00、14:00-20:00
日:-、-
祝:-、-
※日・祝日は、18時~18時30分までの30分間「急病及び継続診療等の方」だけ診療いたします。

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