アイリッシュウルフハウンドを飼う前に知っておきたい、性格や飼い方
2016-11-27
1メートルを超えるほどの体高と、優雅な身のこなしは、神々しさすら感じさせるアイリッシュウルフハウンド。
海外の、とある有名なドッグショーのジャッジはこう言いました。
「様々な犬の中でアイリッシュウルフハウンドは最も優れた犬種である。」
それほどまでに人を魅了するアイリッシュウルフハウンドを飼ってみたいと思っている方もいらっしゃると思います。
しかし、巨大な身体ゆえに自分には飼えるのか?と不安もありますよね。
そこで、ここではアイリッシュウルフハウンドの性格や飼い方、健康面などの情報を詳しく掲載していきます。
憧れだけで飼ってしまって、後から「こんなはずじゃなかった。」と、後悔にないために、ぜひ参考にしてください。
ここを読めばきっとアイリッシュウルフハウンドとの生活を具体的にイメージできますよ。
アイリッシュウルフハウンドの歴史
アイリッシュウルフハウンドは二つの歴史を持った犬種です。
一番古いアイリッシュハウンドの記録は紀元前400年頃に遡ります。
当時の記録には「大きく勇敢な犬」と記されており、そこからアイルランド地方に広がったアイリッシュウルフハウンドは、オオカミから家畜を守る役目を果たし、重宝されていました。
しかし、時が経つと身体の大きさゆえに飢餓で絶滅寸前まで追い込まれたのです。
一度消えかけたアイリッシュウルフハウンドですが、一人の愛好家がグレートデーンなどの近親種を交配して存続することができました。
それが今のアイリッシュウルフハウンドとして広がり、愛されているのです。
この歴史的背景から読み取れるように、超大型犬は人間に余裕がなければ追い込まれてしまうということが解ります。
アイリッシュウルフハウンドと2度訪れた絶滅の危機
アイリッシュウルフハウンドを深く知るためには、彼らを襲った2度の絶滅危機について理解することが重要になります。
1度目の絶滅危機
大きな身体と外敵に対する防衛本能を活かし、オオカミから家畜や家族を守っていたアイリッシュウルフハウンドは、15世紀のアイルランドでは1つの地方につき最低24頭のアイリッシュウルフハウンドを飼うことが法律で定められていました。
このようにして野生のオオカミが増えすぎる事を防ぎ、結果として野生のオオカミは絶滅してしまったのです。
しかし、それまでオオカミ狩りの番犬として重宝されていたアイリッシュウルフハウンドは、不要な存在となってしまいました。仕事を持たない大きなアイリッシュウルフハウンドは、次第に数が減り、1度目の絶滅危機を迎えます。
2度目の絶滅危機と血縁の問題
数人の愛好家の手によって種の存続を果たすことができたアイリッシュウルフハウンドですが、大きな世界大戦を繰り返した結果、2度目の絶滅危機が訪れます。
英国に残ったアイリッシュウルフハウンドのほとんどは、ウーバラという名の一頭のアイリッシュウルフハウンドと近い血縁関係にあり、このまま近親による交配を繰り返しては種の存続が危ぶまれたため、英国は米国に助けを求めました。
その結果、数頭のアイリッシュウルフハウンドが英国に送られ、わずかな頭数から盛り返すことが出来ました。
しかし、このような背景からアイリッシュウルフハウンドは、他の犬種と比較すると狭い遺伝子プールの中で種を存続しており、現在抱える遺伝子疾患の要因にもなっているのです。
寿命の短さが嘆かれるアイリッシュウルフハウンドですが、それはひとえに人間の歴史に振り回されてしまった悲しい過去が深く関わっています。
アイリッシュウルフハウンドを飼う方、これから飼ってみたいと思っている方は短い生涯を嘆くのではなく、深い愛情と大きな心でアイリッシュウルフハウンドの悲しい過去も包み込んであげてください。
アイリッシュウルフハウンドの基本情報
数ある犬種の中でも最大級の体高を誇る超大型犬です。
・体高 76cm~86cm
・体重 48kg~53k
アイリッシュウルフハウンドの価格
35万円~80万円
希少な犬種なので価格は高いです。
アイリッシュウルフハウンドの性格
アイリッシュウルフハウンドは、穏やかで落ち着きがあり、一言で言うと温厚な犬種です。
老若男女、だれにでも穏やかに近づき、紳士的に振る舞います。さらに、忍耐強い一面も持ち合わせているので、飼い主に合わせて行動することが出来ます。
このため、アイリッシュウルフハウンドを飼うための条件を満たしている方ならアイリッシュウルフハウンドは最良のパートナーとなります。
アイリッシュウルフハウンドの飼うには?
スペースにゆとりがあること
大きな身体のアイリッシュウルフハウンドを飼育するためには一定の広いスペースが必要です。アイリッシュウルフハウンドは警戒心が強いので、出来れば室内飼いで飼い主の側に居ることが望ましいです。
金銭的にゆとりがあること
えさ代だけでなく、動物の医療費は体重別で、大きい犬種はその分医療費も高額になります。
たとえば、一ヶ月に一度のフィラリア予防薬、このほかにも必要であればノミ・ダニの駆除薬などが毎月体重の分、負担が増えます。
さらに、治療や手術による医療費も体重別なので、金銭的にゆとりがなければ飼うことができません。
時間にゆとりがあること
アイリッシュウルフハウンドの場合、普段の散歩は1回1時間を1日2回の計2時間は必要です。
また、シャンプーや日頃のお手入れも時間がかかるため、時間に余裕が必要です。
これらの条件を満たすことが出来る方なら、アイリッシュウルフハウンドの良き飼い主となるでしょう。
アイリッシュウルフハウンドのしつけ
穏やかで温厚なアイリッシュウルフハウンドですが、基本的なお座り、伏せ、待て。の訓練は必ず出来るように訓練しましょう。
ちょっとした引っ張りでも人間なら簡単に引きずられてしまうので、制止に従う訓練は重要です。もし、しつけに不安がある場合は訓練士にしつけをサポートしてもらいましょう。
アイリッシュウルフハウンドと健康
アイリッシュウルフハウンドなどの超大型犬種は非常に短命です。大きい身体のため心臓に負担がかかり、結果的に寿命を縮めてしまうのです。
アイリッシュウルフハウンドは平均寿命が8年前後で、短い時間しか一緒に過ごすことができません。
そのため、アイリッシュウルフハウンドを飼う場合は、短くても濃密な時間を過ごすことを心がけてください。
アイリッシュウルフハウンドについてのまとめ
・アイリッシュウルフハウンドは最大級の超大型犬種です。
・体高 76cm~86cm
・体重 48kg~53kg
・価格は希少犬種なので高く、35万円~80万円前後となっています。
・性格は温厚で、誰にでも紳士的に振る舞います。
・身体が非常に大きいので、しつけはしっかりと行いましょう。
・寿命は8年前後でとても短いので、一緒に過ごす時間を大切にしましょう。
・金銭的、時間的な余裕がある方がアイリッシュウルフハウンドの飼育に向いています。
アイリッシュウルフハウンドは大きい身体で落ち着いた仕草がとても魅力的な犬種です。十分なゆとりをもって飼育することが出来る方にとっては、理想のパートナーとなることでしょう。
寿命は他の犬種と比較すると短い生涯ですが、その分アイリッシュウルフハウンドは、大きな身体で沢山の素晴らしい思い出をあなたに残します。
犬の一生で大切なことは、一緒にいる時間の長さではなく、いかに濃密な時間を過ごすかです。
アイリッシュウルフハウンドの大きな身体に負けない、大きな愛情で接してあげましょう。