愛犬のおしっこが出ないことに気づけていますか?
2016-02-17
あなたの愛犬は尿が出にくそうだったり、まったく出なかったりしませんか?
おしっこが出ない。あなたはそんな愛犬の異常に気づけてあげられますか?
尿が出ないことでどのような問題があるのでしょうか?
尿は腎臓でつくられ膀胱にたまり、尿道を通って体外へ排出されます。ところが、尿の排泄がスムーズにいかないことがあります。このような状態のことを排尿困難といいます。
排尿姿勢をとるものの尿がまったくでない、もしくは少ししか出ない、尿をポタポタと漏らすなどが典型的な症状です。
まったく排尿できない状態が続くと、高窒素血症(血液中に含まれる成分である尿素窒素が増加した状態をいいます。腎臓の機能が低下したり、脱水などを起こしたりしたときにみられます。)などの重篤な状態に陥ることもあり、排尿困難は雌よりも雄に良く見られます。
なぜ排尿困難は起きてしまうのでしょうか?
原因として、膀胱から尿道口(尿の出口)までの間に腫瘍や結石などの障害物があると、排尿路を塞ぐことになり排尿困難をおこします。
腫瘍は、子宮・膣・直腸に発生した腫瘍が、尿道を外側から圧迫するために排尿困難を起こす場合もあります。
雄の場合、尿道は前立腺の中を貫通しています。そのため、腫瘍や膿瘍などによって前立腺が肥大すると、尿道が圧迫され排尿困難をおこす場合もあります。
結石は雌でも雄でも形成されますが、雄のほうが排尿困難の原因になりやすいといわれています。これは、雄の尿道が雌の尿道に比べ細く長いためです。
会陰ヘルニアや鼠径ヘルニアなどを起こした場合は、膀胱が腹腔内から脱出してしまうことがあります。このような場合は、尿道が折れ曲がり、排尿困難をおこしている場合があります。
あなたは愛犬の排尿困難をどのようにしたら気づけるのか?
まず、日頃から排尿状況(回数や1回の排尿量、色など)の観察を良くする事で早期発見につながります。
尿がまったくでない場合や、出にくくなった場合は、早めに受診し治療を受けて下さい。
嘔吐や尿毒症を併発している場合もありますので嘔吐などが見られた際には尿の状態も観察するようにしてください。
排尿がほとんどなく、元気や食欲がなく苦しそうにしていたり、ぐったりしている時は早めに受診してください。
もし尿が採取できるようであれば、受診時に持参して下さい。
排尿中の尿を食品トレイなどで受ければ採取できます。
ただし、使用する容器は綺麗に洗って乾かしたものでないといけません(水分が残っていたり、他の成分が混在すると正しい結果を得ることができません)。 また、採取した尿はできる限りはやく検査を受けることが大切です。
では、うちの子は排尿姿勢を取っているけど全然尿が出ないから排尿困難だわ!
そう思って病院に行くと違う病気の場合もあります。それが膀胱炎です。
膀胱炎は、排尿困難と間違われやすい病気です。
膀胱炎になると、排尿後も残尿感が残り、実際には膀胱に尿が残っていないのに残尿感があるためにずっと排尿姿勢をとっていることがあります。
この状態を見て、尿が出ていないと飼い主は思い込んでしまうこともあります。
ただ、膀胱炎も愛犬にとって辛い症状です。病院に連れて行ったあなたの判断は間違っていませんよ。
いかがだったでしょうか?
室外飼いの場合だとあまりおしっこの観察をしてあげられていない人もいると思いますが、ちゃんと観察して愛犬の異常を早期発見してあげてくださいね。
執筆:Zoin
動物看護師・愛玩動物飼養管理士1級・ホリスティックケアの資格を保有。現在、柴犬二匹との生活を楽しみながら、ライターとして活動中