飼い犬が他人の物におしっこ…飼い主の責任と対処法とは?
2016-02-26
散歩中の犬が電信柱や溝におしっこをしているのを見かけたことありませんか?
正直、あまり気持ちのいい光景ではないですよね。夏場は臭いもあり、犬好きの私でも不快に思うことがあります。
気分が悪くなるだけでなく、犬のおしっこは意外とたくさんのトラブルを起こしています。
例えば犬がよその家の外壁におしっこをかけて壁が変色した事例や、大切なバイクにおしっこをかけて臭いが残ってしまい部品交換が必要になった事例などがあります。こうしたトラブルはごく近所で起こることが多く、その後の日常生活に大きな影響を及ぼすこともあります。
「うちは家でおしっこさせてから散歩しているから大丈夫」と思ったあなた。本当に外では一切おしっこをさせていませんか?
たいていの犬は、「マーキング(あちこちにおしっこをかけて自分の匂いをつけること)」を散歩中にしています。
マーキングはオス・メスや犬種を問わずみられる行動で、犬を飼っている人すべてに注意が必要です。またつい恐怖のあまりお漏らしをし、他人の靴を汚してしまうといった可能性もあります。
愛犬のおしっこが大きなトラブルにつながらないよう、飼い主の責任と対処法を覚えておきましょう。
おしっこトラブルの飼い主の責任とは?
「動物の愛護及び管理に関する法律」では、飼い主は「動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、・・・(中略)・・・又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」と規定しています。都道府県等の条例でも同様に、飼い主に「動物を適正に飼養すること」を求めています。また、民法は「飼い主には、飼い犬が他人に加えた損害を賠償する責任がある」旨を定めています。
つまり、飼い主は犬がおしっこをかけて他人の物を汚したり、臭いなどで他人に迷惑をかけたりしないよう注意する法的な義務があり、犬のおしっこが他人に損害を与えた場合には賠償する責任があるのです。
飼い犬が他人の物におしっこをかけてしまったときの対処法とは?
1:まずは謝罪をしましょう。
まずは持ち主に謝罪し、清掃をさせてくださいと申し出ましょう。
家の外壁や衣服など一般的に自分で掃除・洗濯できる物であれば、洗剤やブラシなど持ち主指定の道具を使って、飼い主が掃除・洗濯をしてもよいでしょう。
車など清掃に特殊な技能が必要な場合やクリーニングが必要な衣服の場合などは、持ち主にディーラーやクリーニング店などに依頼してもらうようにお願いしましょう(代金は飼い主が負担します)。
たいていの場合、きちんと謝罪して清掃をすれば「以後気を付けてくださいね」で終了します。飼い犬が汚してしまったわけですから、黙って立ち去ったりせずに誠実に対応しましょう。
2:おしっこをする場所に注意する
次に、今後他人の物を汚すような場所でおしっこをさせないようにしましょう。
家でトイレを済ませ、マーキングは草むらでさせるようにするなどの対策が有効です。
3:示談交渉が必要な場合は…
汚れの程度や汚してしまった物によっては、示談が必要になることもあります。示談書には一般的に次の5項目を記載します。
・お互いの氏名、住所、押印
・おしっこをかけてしまった日時と物、汚れの状態
・示談をした日付
・損害額、慰謝料(迷惑料)を支払うこととその金額
・他に債権債務は一切ないこと
損害額は、汚れた場所の修復代や清掃代などを支払います。
慰謝料は、大切な物が汚れたことによって持ち主が精神的な苦痛を感じたときや清掃などに多大な手間がかかった場合などに支払いが必要です。詳しくは弁護士・行政書士などの専門家に相談しましょう。
いかがでしたか?飼い主にとっては見慣れた愛犬のおしっこですが、他人にとっては汚いものです。散歩は家でトイレを済ませてからと決め、外では一切させないというのが理想ですが、実際は難しい場合もあるでしょう。トイレをする場所と後始末をきちんと考えて散歩することが大切です。
執筆:flower
ペットに関するトラブル予防法務やペットのための信託などを専門に活動。保護施設から譲ってもらった5才になる雑種犬を飼っています。