【獣医師】愛犬の目やにが多いのは病気のサイン?3つの原因と対処法
記事監修:さいとう動物病院 獣医師:齊藤高行
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愛犬が目をこすったり、目やにが出ていることありますよね。ここでは、愛犬の目やにについて原因・対処法などをご紹介いたします。ただの目やにかと思っていたらそれは病気のサインだった、後々後悔しないように参考にしていただければと思います。これを読めば、病気の早期発見早期治療に繋がりますよ。
犬の目やにの原因と症状は?
埃・分泌物など
健康な時にも目やには出ます。その原因の1つが、埃や分泌物などです。透明な目やにやグレーなどの目やにが出ます。
目やに自体は問題ないですが、そのまま放置してしまうと毛と絡まったり、固くなります。目やにに触れている目周りの皮膚や目が炎症を起こすことがありますので、すぐに取り、目周りは清潔に保つようにしましょう。
細菌・ウイルスなど感染
黄色や緑色の目やにが出ている場合は細菌・ウイルスなどによる感染が疑われます。気管支などに細菌・ウイルス感染しているときも目やになどの症状が出ることがあります。目やにの他に、くしゃみ・鼻水や咳などの症状が出ることがあります。
細菌・ウイルス感染が疑われる場合は動物病院での治療が必要です。免疫力や体力がない幼犬や老犬などは、目やにの症状から発熱、下痢・嘔吐などの症状まで進行する場合もありますので、早めに動物病院を受診しましょう。
病気
1、流涙症
原因は生まれながらに持っている先天的奇形、もしくは腫瘍、寄生虫や膿性分泌物(目やに)などの後天的なものです。
症状としては目やにの増加、涙量の増加、目周りの皮膚の炎症です。
治療法は、動物病院で原因となっている元の病気を治す治療や、涙点からの涙管洗浄などがあります。
ケアとして、目やに・涙などで目周りが不衛生にならないようにこまめにふき取ってあげましょう。
2、角膜炎
原因は外傷、「犬ジステンパーウイルス」、「犬アデノウイルス」などのウイルス、真菌、細菌などの感染症、ビタミンA欠乏などの代謝性障害などです。
症状としては涙量が増える、痛みがあるので眼をショボショボさせたり、目が白く濁ったり、充血などが見られます。痛みがあるのでワンちゃんが目を気にして前足で掻いたりします。
治療法は、角膜炎の進行状況にもよりますが目薬などを処方される場合が多いです。エリザベスカラーなどで目をひっかかないような対処法も行います。
3、白内障
原因は遺伝、奇形などによる先天性と、老齢、糖尿病、外傷などによる後天性に分かれます。特に老犬では多くみられるます病気だと思います。
症状としては目の水晶体という部分が白く濁ります。視力障害は進行の程度により変わり、水晶体が真っ白になっている状態だとほとんど視力はないようです。
治療法は、水晶体を摘出し人工水晶体を入れる外科的な治療と、点眼薬などで進行を遅らせる内科的な治療があります。
4、緑内障
緑内障は早く動物病院に受診する必要のある緊急疾患です。
原因は先天性、原因がわからずになる特発性、他の病気から引き起こされる続発性があります。
症状としては激しい痛みや、角膜が白く濁り、眼圧が上がり、視力もなくなります。目の圧力が上がるため目がどんどん出てきます。
治療法は、他の病気から引き起こされる場合は原因となる病気の治療を行います。眼圧を下げるためにお薬を投与する薬物療法と、薬物療法では改善が見込まれない場合は眼球摘出するなどの外科療法があります。
5、ブドウ膜炎
原因は遺伝などの先天性、ウイルス、細菌、真菌などの感染症、他の病気から引き起こされる続発性があります。特にゴールデン・レトリバーなどは多く発症する様です。
症状としては角膜の裏側が濁り、目やにや涙の量が増え、瞳孔が縮むなどです。
治療法は、他の病気から引き起こされる場合は原因となる病気の治療を行います。ウイルスや細菌感染の場合は抗生物質などの薬物療法、原因がわからない場合は現在出ている症状に対しての治療を行います。
6、チェリーアイ
原因は生まれつきの先天性、何らかの外傷により瞬膜が炎症を引き起こす外傷性があります。ビーグル、ペキニーズ、フレンチ・ブルドッグ、コッカ―・スパニエルなどが好発犬種と言われています。
症状としては第三眼瞼(瞬膜)がでてきてしまい、目をこする仕草をします。瞬膜が飛び出た状態ですので、ほとんどの場合は目を見ればチェリーアイとすぐにわかります。
治療法は、軽度の場合は点眼薬での治療を行います。他にも外科手術を行う方法があります。全身麻酔をかけて、第三眼瞼腺を切除する方法と第三眼瞼腺を第三眼瞼に縫い付け外に飛び出さないようにする方法などがあります。
7、ドライアイ
原因は涙腺・第三眼瞼腺の異常で涙の量が低下、もともと目の表面積が広い犬種で目が乾きやすいなどがあります。コッカ―・スパニエル、ブルドッグ、パグ、シーズーなどが好発犬種と言われています。
症状としては角膜炎や結膜炎と似たような症状や、目やにの増加、角膜に穴があく、重症になると失明することもあります。
治療法は、軟膏や点眼薬を塗り、人工的に涙の量を増やしたり、乾燥を防ぐ薬物療法や外科的に流涙量を増やす手術などがあります。
犬の目やにの対処法
目の病気としてかかりやすい犬種はチワワ、トイ・プードルなどの小型犬、フレンチ・ブルドッグ、パグなどの短頭種、コッカ―・スパニエルなどの目が大きい犬種などです。他にも目周りに長い毛が生えるよう犬種は毛が目に入り傷がつきやすいためカットなどで目周りの毛は整えましょう。
目に物をぶつけることで角膜炎に繋がることもありますので、ワンちゃんの顔の高さに物を置かないようにしましょう。
他に、目に障害がある時や老犬になってからは模様替えなどは控えるようにしましょう。ワンちゃんは物の位置などを覚えて生活しています。特に視力が衰える時期には模様替えなどしてしまうと顔をぶつけてしまう事がありますので、できるだけ床に物を置かない模様替えはしないなど、ワンちゃんに気を使ってあげましょう。
自宅でできる犬の目やにのケア方法
目やにが出ていたらコットンやガーゼなどでその都度取ってあげましょう。そのまま放置しておくと固くなり毛と絡まると簡単には取れなくなってしまいます。目周りに毛が生える犬種や短頭種などは目やにが出やすくさらに毛に絡まりやすいので、できるだけ清潔にしてあげましょう。
カチカチになりとれなくなってしまった場合は濡れたガーゼなどで目やにを濡らしふやかしてあげましょう。充分にふやかしてから優しくふき取りましょう。
力ずくで引っ張ったりすると目周りの皮膚や誤って目を傷つけてしまう場合がありますので、ご自宅でケアする場合は注意しましょう。ご自身で取るのが不安な人は動物病院か、トリミングサロンにお願いしましょう。
目やにがでやすいワンちゃんは、トリミングサロンなどでトリミング時に目周りの毛をすっきりさせてあげるなど日ごろからケアしやすいカットをお願いするといいでしょう。
犬の目やにの対処法まとめ
目やにから考えられる原因・症状、対処法などをご紹介しました。目やには健康な時でもでますが、安易に様子をみていると失明する可能性もある怖い病気のサインのこともあります。ですので、ワンちゃんの目を普段からよく観察することが大切です。
ワンちゃんは視力に頼らずに生活しているといわれていますが、大事な五感の一つです。病気のサインを見落とさず、適切な処置を行うことで、大切なワンちゃんを守ることができ、ワンちゃんが年を取ってからも快適に生活することができますよ。