【獣医】犬も風邪をひくの?4つの風邪の症状と対処法
2016-11-17 [記事URL]
季節の変わり目や乾燥した季節、風邪がはやる季節は愛犬の体調も心配してしまいますよね。ここでは、ワンちゃんの体調など心配する飼い主さんのために、風邪の症状や対処法などご紹介します。どのタイミングで動物病院を受診すればいいのか、この症状は風邪なのか、など迷って時に参考にしていただければと思います。早い段階で風邪なのかを見極めることによりワンちゃんも飼い主さんもストレスフリーな生活を送ることができますよ。
ワンちゃんも風邪をひくの?
ワンちゃんも人間と同じで、季節の変わり目や寒暖差が大きい時期には体調を崩しやすいです。他にも暑い時期の冷房のつけすぎなどで体調不良になることが多いです。
ワンちゃんには「風邪」という病気はありません。免疫力が低下している時や体調を崩している時にウイルスや細菌などが感染し、なんとなく元気や食欲がない、下痢をしている、外に出るのを嫌がる、ずっと寝ているなどの症状が出ると「風邪」と呼ぶことがあります。いつもと違う様子が見られる場合は風邪ではなく、他の病気の可能性があります。
風邪症状の原因
細菌やウイルス
ほとんどの場合がウイルスが原因で発症します。代表的なウイルスは「犬アデノウイルス」、「犬パラインフルエンザウイルス」、「犬ジステンパーウイルス」などです。
これらのウイルスはワクチン接種などで予防できるウイルスです。ワクチン打ったからといっても100%そのウイルスに感染しないわけではありません。しかし、万が一感染したときに軽い症状で済みます。ワクチンのお話など、獣医師さんに相談してみてもいいかもしれません。
寒暖差の激しい環境
人間同様、寒暖差が激しい環境が続くと身体にストレスがかかり、ワンちゃんも体調を崩しやすくなります。特に秋から冬にかけては急に冷え込みが強くなる事も多くあり、ワンちゃん用の寝床が夏仕様のままである場合も多いと思います。
さらに、寒気は下にたまるので小型犬などの小さいワンちゃんは大型犬より寒さを感じやすく、身体から熱が逃げやすいので、体温が下がりすぎないよう注意が必要です。
気温の変化が激しい季節はお家の中に暖かい場所と涼める場所の2カ所、用意しておくとよいでしょう。
免疫力の低下
幼犬や老犬は成犬より体力がなく免疫力も低いです。自分自身で体温を調節するのが難しい時期です。季節の変わり目や環境の変化などによるストレスや寒い時期には体温も下がり、さらに免疫力も下がります。
免疫力を下げないためには体温を保つことです。体温が下がると免疫力も下がりますので、できるだけ温めてあげることが大事です。ブランケットを1枚足してあげたり、食事内容も体を冷やす食材は避け、常温もしくは少し温めて与えるといいでしょう。
風邪といわれる病気の主な症状
軽度・初期症状
1、咳
コンコンという咳からガハッと吐き出すような咳まで様々です。乾燥した時期は粘膜も乾燥しやすく咳も出やすくなります。他に症状がなく単発の咳で、1日に2.3回程度でしたら様子を見てもいいですが、連続で止まらない咳や嘔吐が伴う咳など出ている場合は動物病院に連れて行ってあげましょう。
2、目やに
透明、白い目やにがでることがあります。乾燥した季節は目も乾燥しますので出やすくなります。少量の目やにでしたら問題ありませんが、黄色や緑色の目やにや、急に量が多くなった場合は細菌・ウイルスなどによる感染が疑われ、放置すると進行する可能性がありますので早めに動物病院を受診しましょう。
他にもワンちゃんが目を気にし前足で掻くような素振りをする場合は目に何かしら異常がある場合がありますので動物病院を受診しましょう。
3、くしゃみ・鼻水
透明なくしゃみ・鼻水でしたら1.2日様子を見てもいいでしょう。黄色や緑色の分泌物が出る場合はこちらも細菌・ウイルスなどによる感染が疑われますので、症状が進行する前に動物病院を受診しましょう。
4、微熱
普段だったら冷たい耳などが暖かい・熱い場合は発熱が疑われます。いつもより元気・食欲がなかったり、ほかの症状も一緒に出ていることが多いので、ワンちゃんの様子をしっかり見てみましょう。
ワンちゃんの平熱は個体差によりますが37.5℃~39.0℃程度です。39.0℃より高い場合は発熱となります。微熱はいつもの体温より高い状態ですので、普段のワンちゃんの平均体温を知ることが大事です。
ワンちゃんによって37.5℃が平均のワンちゃんから39.2℃が平均のワンちゃんもいます。ワンちゃんの体温を測るためには肛門に体温計などを差し込み測定することがほとんどですが、肛門付近は嫌がる子も多くご自宅ではなかなかできませんよね。体温計での測定が難しい場合は、ワンちゃんの体を毎日触りましょう。触ることで耳はこのくらいの温度、お腹はこのくらいの温度と知ることができます。
症状が進行すると
病状が進行すると、けいれんや下痢・嘔吐などの症状が出ます。けいれんなどの症状が出た場合はすぐに動物病院を受診しましょう。下痢・嘔吐などの症状が出ている場合は食事や水分補給もしっかり取れない状態です。脱水などのほかの症状も出る可能性がありますので、早期に対応しましょう。
風邪症状が出たときの対処法
1、栄養・水分補給をしっかり取り、休息する
食欲があるのであれば、しっかりご飯を食べるようにしましょう。食いつきが悪い場合はぬるま湯などを加え、少し温めてから与えると匂いもでるため食いつきも良くなります。さらに、ぬるま湯を加えることで水分もドライフードより多く摂取できます。
ご飯を食べないからといっておやつをたくさん与えたり、人間のご飯などを与えると、味が濃く美味しいため、通常のドライフードを食べなくなる危険性もありますので、食事内容には注意しましょう。
しっかり栄養・水分を補給した後は休息させてあげましょう。体調不良の時は十分な休息睡眠が一番の特効薬ですので、できるだけ静かに休める環境を作ってあげましょう。
散歩は気分転換に行く場合や、ワンちゃんが行きたがる場合軽く連れて行ってもいいでしょう。ただし、ワンちゃんが嫌がる場合やゆっくり休んでるのであれば控えるようにしましょう。
2、ゆっくりできる場所を作る
環境の変化や同居犬が増えた、飼い主さんの生活スタイルの変化などによるストレスが原因の場合はできるだけ静かに、リラックスできる環境を作ってあげましょう。
引っ越しなどによる環境の変化の場合はできるだけ、前の環境に近づけるように以前から使用していた毛布やおもちゃなど前の環境と同じ匂いのするものを一緒においてあげましょう。毛布やおもちゃなど引っ越しの時に捨てずに残してあげましょう。
同居犬などが増えた場合は、同居犬が子犬の場合はしばらく別にしてあげるといいでしょう。子犬は元気がよくストレスになるので、ゆっくりできるよう、子犬が入ってこないようなスペースを設けてあげるといいでしょう。
3、症状が進行している場合は動物病院へ
症状が進行していて嘔吐・下痢だったり、発熱しているようであれば、動物病院に連れていきましょう。他にも咳が出続けている、緑の鼻水が出ている場合は細菌感染やウイルスの感染が疑われ、動物病院での治療が必要となりますので、早めに動物病院に連れていきましょう。
風邪症状が出ている幼犬や老犬の場合は早めに動物病院に連れていきましょう。成犬より体力も免疫力もないため、症状が早く進行する可能性があります。いつもと何か様子が違うけど、見極めるのが難しいと迷う場合はかかりつけ動物病院に1度連絡し、相談してみましょう。
かかりつけの動物病院であればワンちゃんのカルテに性格や体調、既往歴なども記載されていますので、的確に状況を判断してくれるでしょう。
風邪をひかないようにするには?
1、免疫力をあげる
免疫力を上げる方法はたくさんありますが、体温を上げるのも効果的です。ただ、暖めるだけでなく、基礎体温を上げましょう。太陽の出た天気の良い日などに適度な運動を行い筋肉を動かしてあげましょう。筋肉が適度につくと代謝が良くなり基礎体温もあがり、さらに免疫力もあがると言われています。ワンちゃんの平均体温は個体差がありますが、37.5℃から39.0℃程度で、平均体温内に保てるようにしましょう。
他にも腸内の環境を整えることも大事なことです。腸内のバランスを整えるために乳酸菌などのサプリメントを与えたり、消化の良いドッグフードを選んで与えたりすることも効果的でしょう。
老犬になるとどうしても筋力や体力は低下し、免疫力が下がってしまいます。適度な運動や免疫力を上げるといわれている食材などを積極的に与えるようにしてあげましょう。
2、適度な運動
適度な運動は免疫力を上げる手助けをするだけでなく、ストレスを軽減することができます。ストレスも風邪の大敵ですので、適度な運動を取り入れると体力がつきますので、例えば病気になった時に病気に勝つこともできます。
適度な運動といっても犬種ごとに運動量は違います。チワワなどの小型犬は室内の軽い運動で足りるかもしれませんが、大型犬で同じ遊びだけだとストレスが溜まってしまいます。
コーギーやボーダーコリーなどのもともと牧羊犬として飼育されていたワンちゃんはたくさん走り回ったり、かなりの運動量を必要としますので、適切な運動量を調べてあげましょう。
3、規則正しい生活
急に生活スタイルが変わるとワンちゃんもストレスが溜まります。ストレスをためないためにも、できるだけ生活スタイルは変えないよう心がけてあげましょう。
犬の風邪についてのまとめ
ワンちゃんが咳・鼻水が出ている風邪かな、と思う飼い主さんも多いと思います。ただの風邪かと思って様子を見ていたら手遅れに、なんてことにならないように風邪様症状、原因、対処法などを知ることで、症状が進行する前に対処できるようになります。そうすることでワンちゃんは健康に過ごすことができるでしょう。