【獣医師監修】犬の首椎間板ヘルニアについて- ますだ動物病院院長

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【獣医師】犬の首椎間板ヘルニアについて

2016-04-28

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記事執筆:ますだ動物病院 院長:増田和明
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院長の増田和明です。椎間板ヘルニアは突然発症し、大切な愛犬が歩けなくなってしまう怖い病気です。しっかりとした知識を持つことで、この病気に悩む子が少なくなれば幸いです。

愛犬が段差を上りたがらない
動きたがらない
頭を上げられずに上目づかいになって固まってしまう
ふとした時に突然ギャンギャン痛がるが、どこを痛がっているのか分からない

といった症状があるときは首の椎間板ヘルニアの可能性があります。

症状は痛みだけのことが多いのですが、中には四肢に麻痺が起きてうまく歩けなくなってしまう場合や、寝たきりになってしまうこともあります。手遅れになると呼吸もできなくなり、最悪の場合、亡くなってしまうこともある怖い病気です。

椎間板ヘルニアは腰だけじゃない

椎間板ヘルニアというと、腰の病気だと想像される方が多いかと思います。実際に犬の椎間板ヘルニアの多くは腰で発生しますが、全体の15%程は首で起きると言われています。

首の椎間板ヘルニアはビーグルをはじめ、ダックスフンド、フレンチブルドッグ、ヨークシャーテリア、パグなどなど、ほぼ全ての犬種で発症します。

椎間板ヘルニアってどんな病気?

椎間板ヘルニアという病気がどのようなものなのか簡単にご説明いたします。

椎間板とは、背骨と背骨の間にあるクッションのようなものであり、そのクッションがつぶれて中身が飛び出してきた状態のことを椎間板ヘルニアといいます。

背骨の中心部は空洞になっており、脊髄という神経が通っているため、椎間板ヘルニアを起こし、クッションの中身が飛び出してくると脊髄が圧迫されて、痛みや麻痺を伴うことになります。

つまり、椎間板ヘルニアは何らかの力が椎間板に加わり、椎間板の中身が飛び出た瞬間に突然症状が現れる病気なのです。さらに、飛び出た椎間板物質の量が多ければ、脊髄は強く圧迫され続け、麻痺は進行していきます。

どうすれば、首の椎間板ヘルニアを治療できるの?

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この病気の9割以上のわんちゃんは安静と薬などで回復しますが、大量の椎間板物質が飛び出て脊髄を圧迫している場合は、手遅れになる前に飛び出た椎間板物質を取り除く必要が出てきます。

安静にし、治療をしているにもかかわらず、症状がよくならない場合は、脊髄造影検査あるいはMRI検査を行い、椎間板物質を取り除くかどうかを検討します。

椎間板ヘルニアは脊髄造影検査でもMRI検査でもほぼ100%診断できる病気であり、しっかりとした治療を受けられれば、極めて回復率の高い病気です。ただし、発症してから2週間以上経過している子などは椎間板物質と脊髄が癒着してくるため、手術の危険性が高くなっていきます。

専門的な治療を受けられる病院は限られていますが、かなり重症な寝たきりの状態でも、足をつねって痛みを感じられる場合は、適切な治療を受けることにより数日以内にほぼ100%元気に歩けるようになる病気でもあるため、手遅れにならないよう、しっかりとした知識を持っておくことが大切だと思います。

椎間板ヘルニアを予防するには?

完全に予防することは難しい病気ですが、段差から飛び降りるなどの、過度な力が加わる行動は避ける。また、突然どこかを痛がる、動きたがらなくなった、などの症状が現れた場合は、適切な指導や処置を受け、安静にすることができれば、大変な検査や手術をしなくても回復する場合が多いため、すぐに動物病院に相談することをおすすめします。

どんなわんちゃんがなりやすいの?

肥満のわんちゃんは椎間板ヘルニアになりやすいとも言われており、検査や治療、ケアをするうえでも、肥満であることは望ましくないため、毎日の食生活なども大切です。

愛犬と元気にお散歩に行くのはとても楽しく気持ちのいいことです。その幸せな生活を守るためにも、首の椎間板ヘルニアについて理解していただき、この病気に悩むわんちゃんや飼い主様が少しでも少なくなれば幸いです。


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